水産物の消費拡大について その4 未利用資源の有効活用事例【徳島県立徳島科学技術高等学校の取組を学ぶ】

 8月29日は,徳島科学技術高校の服部和幸先生と3年生の井原卯捺さんほかの方々を講師に招き,「未利用資源の有効活用事例」を学びました。場所は,再び水産研究課美波庁舎6次産業化研究室です。
 徳島科学技術高校海洋技術類海洋総合コースでは,過去より,未利用水産物の利用促進に取り組んできておられます。

まずは,ワカメメカブ,スダチ果皮,レンコン節部,おからなどの「未利用資源」を,「機能性微粉末」や「顆粒状食品」に加工する取り組みについて,説明を受けました。

 こちらは,ワカメ茎の入った「練り製品」。練り製品は,魚のすり身を用いるのですが,これはそれに「おから」を加えることで,「おから」の有効利用を図っているものです。試食してみましたが,味は非常によく,すぐにでも商品化できそうな印象を受けました。

続いて,未利用水産物を用いた「レトルト食品」の作成にうつります。これは材料のウツボ。ウツボは,干物や珍味として,また最近は「ウツボのたたき」などとして利用されていますが,それでもまだ利用率は低いと考えられます。

こちらはクロアナゴ。漁獲されても多くは投棄されます。

下処理方法は,ウツボもクロアナゴも同じ。まずは塩で体表のぬめりをとったのち,頭と内臓を除去。

丁寧に水洗いし。。。。

筒切り。

今回は「水煮」と「大和煮」を作成。それぞれの調味液にしばらくの間漬け込みます。

漬け込んだ切り身をレトルトパウチ容器に入れていきます。

真空パッキングをしたら,先日も使った「レトルト食品用オートクレーブ」にセット。加圧加熱殺菌を行います。実は,この「加圧加熱」が,殺菌のみならず「調理」の手段にもなっています。

パック表面の水分をふき取って無事完成。

 その後,試食および意見交換をしました。

 少々「魚くさい」と感じられるものもありました。これは,「食べる前に自分の好みに味付けする」ことを前提にして,あえて薄味に調味していることにも関係しているようです。ただ,「レトルトパウチ食品は,簡単に食べることができることが『売り』なのであるから,開封してお皿に載せるだけで1品となるように,あらかじめしっかりと味付けをしておくべき」との意見もありました。

 ウツボとクロアナゴは小骨が多く,それが未利用となっている大きな原因ですが,それについては,加圧加熱処理により,全く気にならない状態になっていました。魚の中骨(だけ)の缶詰がありますが,それと同じようなレトルトパウチ食品を開発してはどうか,との意見もありました。こちらについては,骨だけにした場合,容器に真空包装する際に,骨が容器を突き破ってしまうという問題があるそうです。

 未利用資源の有効活用は,試作→改善→試作→改善の繰り返しになります。平成29年3月に整備された水産研究課美波庁舎6次産業化研究室を核として,いろいろな分野の関係者が,それぞれの情報を持ち寄り,一緒に考え進めていくことが重要であると感じた,今回の研修でした。