水産物の消費拡大について その3 水産研究課美波庁舎6次産業化研究室

 水産物の消費拡大の1つの手段として「加工する」ということが挙げられます。従来,徳島県内において,漁業者や漁業協同組合が,実験的に水産物を加工しようとしても,公的な施設はありませんでした。しかし,平成29年3月に,水産研究課美波庁舎内に「6次産業化研究室」が整備され,水産物の加工品の試作が手軽にできるようになりました。
 研修生が将来漁業者となった際には,収入アップのため漁獲物を自ら加工して販売する可能性もあり,その際この「6次産業化研究室」の活用も考えられることから,8月24日~25日に「6次産業化研究室」で各種加工機器の使用法を学ぶ研修を行いました。



【干物加工編】
とりあえず様々な魚を干物にしてみることにしました。
これはシマイサギとガンゾウビラメ。

アイゴとフエフキダイ(の仲間)とキダイ(の仲間)
アイゴは海藻類を食害し,磯焼けの原因種の1つともされているので,どんどん食べていただきたい魚です。

メダイ(大きい方)とワキヤハタ(かオオメハタ)。
メダイはあまり馴染みのない魚ですが,特に関東では重宝されます。海部郡沖にも生息しており,今後期待のもたれる漁業資源です。

ワニゴチ。干物にするために片っ端から処理していきます。
アイゴは背鰭・腹鰭・臀鰭の棘に毒をもち,死んでからでも刺されると非常に痛みます。そこでまずそれらを切り離してから,処理します。

その後塩水につけてから干物に加工へ。写真の後ろに見えている「冷風乾燥機」にセットし,翌日までかけて乾燥させます。
で,翌日。おいしそうに出来上がりました。この後,最近はやりの「スチームコンベクションオーブン」で焼いて試食しました。



【イカ飯編】

小型のイカともち米から「レトルトのイカ飯」を作ってみました。イカの胴にもち米を詰めます。

「真空包装機」を用いて,専用の袋に真空包装。

それを「レトルト食品用オートクレーブ」にセット。この機械では,1気圧以上の高圧で加熱することにより,食品を100℃以上(例えば120℃)に保つことができます(1気圧で120℃にすると,水は沸騰し気体になってしまいますが,この機械では液体のままです)。これにより,十分な殺菌に必要な温度が確保でき(「加圧加熱殺菌」といいます),レトルト食品ができる,というわけです。

無事出来上がりました。これももちろん試食しました。

 なお,ここでは「レトルト(食品)」と表示していますが,商品に「レトルトパウチ食品」と表記するには,いろいろな「きまり」(例えば「容器は遮光性を有していなければならない」など)がありますので,ご注意ください。



 今回の研修では,水産研究課美波庁舎6次産業化研究室に設置されている全ての機器,「冷風乾燥機」「スチームコンベクションオーブン」「真空包装機」「レトルト食品用オートクレーブ」の使い方を学ぶことができました。
 これらの機器は,6次産業化を進める漁業者の方や水産加工業者の方の商品開発試験等にお使いいただけます。詳細はこちらをご覧ください。